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「大型風車の自然環境へ」

代表呼びかけ人 水野重紀(尾浦の自然を守る会)

◎日本海沿岸に沿って形成されている沿岸山域の稜線近く等に、風車工事の道路やヤード等が作られると、地形掘削及び伐採などにより、冬期の季節風が東側に吹き抜け、生態系に負の影響をもたらし、植物・動物相にダメージを与える可能性が大きい。

 高館山塊を始め、上郷地区の荒倉山に続く海岸丘陵は、冷温帯に位置しており、加えて多雪地帯であることから、多くが寒冷地系植物に置換される日本海要素(植物)が多い中で、沿岸を北上している対馬暖流の影響で暖地系植物が育成する、世界的に稀有な地域であり、微妙なバランスが保たれていることにより、多種の野生生物が生育できる地域となっており、生物多様性が大きい(維管束以上の植物142科850種:2010年・・・その後の発見も少なくない)。

 その中、外来植物は55種で、植物帰化率は6.58%であり、全国の2009年の平均植物帰化率は30%であり、当地域の自然度は極めて高い。

 生態系ピラミッドの基礎を担う生産者の植物種が多いという事は、第一次消費者の昆虫類が多いことに繋がっている(昆虫種753種2010年時点、さらに確認種は増えると思われる)。多様性の高い地域である。

帰化植物種が少ないのは、当地域は日本での多くの地域と同様に弱酸性土壌であり、そこに酸性には弱い外来植物が容易に侵入し難いことが、要因の一つである。そのような地域にコンクリート性の工事が行われると、土壌のpHがアルカリ性に変わり、外来種が入り易くなり、植生へのダメージが大きくなる。

 

◎高館山塊(高館山-八森山を中心にした山地帯)~荒倉山の海岸丘陵山地の中の広い地域(旧大山藩)が、1669年から1868年の明治になる間に幕領として伐木・伐開等が禁止され、往古からの自然植生が良好に残っている貴重な地域である。

 冷温帯でありながら、対馬暖流の影響で、1月の平均気温が0℃以下にならず、暖地系植物が生育出来、寒地系・暖地系両方の植物が同一地域に多種生育し、それらを食う多種の昆虫から、それら昆虫等を食う上位の消費者への生態系ピラミッドが構成され、多様性の大きい良好な生態系が出来上がっている。

 このような地域は日本では少なく、世界でも類例を知らない。

 

◎ラムサール条約指定湿地の下池・上池に飛来するガンカモ類やそれらを追って飛来する猛禽類と多くの渡り鳥の主たる移動コースである当該地への風車建設は、バードストライク(確認鳥類51科214種:2016年)の危険が大きく、容認できない。当地の様な自然環境の良好な地域では、生物多様性を考える場合、近年コウモリ類(現在7種類確認)のバットストライクも考慮しなければならない。

 

今ある当地域の多様な自然環境と生態系を保全するには、自然環境を今以上に荒廃させないよう配慮しなければならない。

植物の繁茂はCO₂削減に最も効果があることから、当地域に自然分布する樹木の繁茂を阻害しないよう保全努力を継続する必要が有る。

良好な自然環境を子孫からの借り物と考え、未来につなげていく必要を強く感じている。

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